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< 木挽町のあだ討ち >

映画見て来た。総じて面白かった。
だが。……面白かっただけに、ケチをつけたいところもまあまああったんだよなー。

 

 

 

 

 

す。

 

大枠は良かったと思う。仇討ちの話と芝居小屋の話の融合は。上手い。
小枠は大変に面白かった。出てくる役者、演技、細かい部分の整合性、
よく考えられているし、上手いと思ったし、楽しかった。
ただなー。中枠が不満なんだよなあ。

何を中枠と言ってるかというと、菊之助のお父さん部分。
やっぱりいろいろ無理がある。何しろ説明されるだけだから、
説得力がほぼ生まれないのよね。まあ謎解き部分をドラマとして見せるのは
すごく時間がかかるだろうけど。

でもストーリーとして納得出来ないのは弱いのではないか……。
お父さんが、藩主?若様?の側近だったらもう少しやりようがあるだろうと思わない?
気になるなあ、この辺。で、さすがに作兵衛に死を強制するのは流れ的に無理が……

わたしはこの間、武士身分についての磯田道史の著作を読んだばっかり

(1年くらい経つけど)だから、
「作兵衛は中間か小者だよなあ。そうすると基本的には雇われで、お家のために死ぬまでは
しないんじゃないかなあ。長年勤めて愛着はあるだろうけど。中間に脱藩という
概念はあったかなあ。江戸であんなに長髪になるほど生活に苦労していたのなら、
証拠書類はどこに置いていたんだろう?」などなどなど……。いろいろ気になるのよ。

そして、いつから芝居小屋の奈落にいたんだっていうね。佑が来るまで1年半だよ。
どう考えても隠し通せないだろう。事情に通じてない人が何十人といるんでしょう?
そんなに界隈で顔を売ったのなら誰かは気づきますやん。
普通に逃がしとけやー。その方が楽や。

お父さんと柄本佑の関係性で、仇討ちの実情を知らない、知らないのを調べる、
そうなるかなあ。佑にはさすがに打ち明けるんじゃない?
だってそうでないと、佑が作兵衛の死についてずーっと負い目を感じ続けるんだよ?

菊之助が行方不明ってのなら佑が真相を究明したいのもわかる。
でも菊之助が無事に美濃に戻っているなら、佑が騒いだら藪蛇じゃないですか。
ヘタすると藩を欺いた不届き者として切腹か獄門……

ここが一番不満かな。隠密なのかどうなのかはっきりさせてないところがまた。
もう終盤なんだから、そこは誤魔化さず、自分の知りたい欲だけで動いたことにして
良かったのに。隠密だったらマズイんですよ。

そもそも序盤から、ちょっと「ん?」とひっかかっていた。
渡辺謙があの場所にいて、がんどうを空き地に向けるのは、あまりにも臨機応変、
あるいは用意周到すぎない?これが、うっかり八兵衛みたいな芝居小屋の人が
慌てて「がんどうだ、がんどうだ!あるだけ照らしねい!」とか叫ぶならまだしも。

そして、話が菊之助が逐電しているのか美濃にいるのか、まったく触れられずに話が
進むから、そこがずーっとひっかかって没頭できないでいた。
まあいろいろ欺きたいストーリーだとはいえ、菊之助の現在地ははっきりさせとかないと
ダメだと思うのよねー。ここは混同させちゃダメな部分。

 

と、中どころに対する多大な文句はありつつも、小枠は見事でした。

一つ一つを丁寧に回収していた。
まず、最初の映し方がウマイ。あれだとどうしたって美女に見えるもの。
それが急に打掛を脱いで白装束。はっきり言って小太刀を背負うのは
「見えるやん!」とツッコミを入れたが、まあ見なかったことにしてもいい。

芝居小屋の面々の技が活きてたのが面白かったね。
立作者。小道具。女形。呼び込み。当時殺陣指導がいたかどうかは定かではないけれども。
いましたか?

多分、小屋に入っている間、音声的にはゴマカシがありますよね。
あんなに無言が続いた印象はない。瀬戸康史の台詞で埋められてるかもしれないが。
あと、渡辺謙が舞台に出ていたかどうか、実際に背後から隠れて脱出しているかどうか、
そこはもう一回見せて欲しかった気がした。

あ、しまった、またツッコミに戻ってしまった。

佑はさー。初期はまさにこういうおとぼけキャラで出て来ていて、
それがだんだん色気を増していって、二枚目役をやるようにもなったのよね。
それが今回原点回帰。ちょっと嬉しく見た。

渡辺謙の暑っ苦しい演技も、今回のこの役には合っていた。
お父さん、お母さんとの関係性も無理がなかった……とはいわないが、
よく作られていた。

女形の吉沢ほたる。わたしはこの役者(高橋和也)多分初めてくらいに見たけれども、
いい感じの女形でした。ちょっと不気味なところも、少し切ないところも、いい役だった。
菊之助に対して、恋心的な、母親的な、若さと美への羨望とか、自分の過去とか、
いろいろな感情があるように見えて一番いい役だった。

瀬戸康史はちょーどいい感じでしたね。年恰好、雰囲気、ちょーどいい。

あとはなんといっても北村一輝でしょうねえ。
この作品は北村一輝にとどめをさす。この人によってこの話の説得力が倍になった。
単なる無法者と、この上ない忠義者。二面性を出せたのはこの人の持つ演技力。と見てくれ。
上手い配役でした。まあ、田舎者は若干やりすぎ、無法者も(田舎者がやっているにしては)
上手すぎですけどね。

あ、忘れていたが滝藤賢一は好きなので、いつものコミカルな役じゃない、
がっつりシリアスが見れて楽しかった。カラダ作ってるねえ。
「探偵が早すぎる」のSPはまだですか。そろそろやってもいいんじゃないですか。

 

監督・脚本が源孝志だったのねえ。全部を感心して見ているわけじゃないけど、
けっこう好きな方。「京都人のひそかな愉しみ」という、ドキュメンタリーとドラマが
混然となっている作品を最近出してますよね。京都といえばこの人。
今後、時代劇と云えばこの人、というまでになるかな?

時代劇でミステリを見られたのは楽しかったし、今後この系統が来たらまた見たい。
原作者の作品も読んでみようかなあ。多分8年後くらいになるだろうが。

予告で見たい気になった映画がいくつかあったし、この春は久々に映画をたくさん
見られるかもしれないなあ。だが3月も4月もそこそこ予定を入れているので、
見られるかしら。なるべくがんばりたいと思います。

 

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